Raffaniello’s diary

サルトリア ラファニエロのブログです。

ウォッシュド デニムジャケット

新型コロナが流行してから、対面での販売が難しくなるかと予想し始めた既製品ですが、

これもやってみると中々面白いものです。


この生地で作ったらどうなるんだろう?と、半ば実験的に色々と展開してみております。


そんな中、今回リリースした面白いアイテムがこちら。

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岡山産のデニムを使用し、洗い加工を施したDBジャケットです。


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最近、色々な方から「デニムのアイテムはないのか?」との問い合わせを頂いておりました。


半信半疑で恐る恐る作ってみたのですが、出来上がってみるとこれがまた何ともユニークな仕上がりに。


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ドレスシャツでタイドアップしても良し、Tシャツやカットソーの上から羽織ってもよしの、中々優秀なアイテムかと。


先日、某セレクトショップで働かれていたお客様から伺ったのですが、デニムジャケットは非常に人気が高いそうですね。知りませんでした。。



お客様からも満面の笑みを頂きました。


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ここから更に着込んで、色落ちしていく過程を楽しんで頂けたらと思います。


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こうしたアイテムは工場だからこそ作れるものでもあり、やはり挑戦してみて良かったなと。


早速問い合わせも多数頂いておりますので、気になる方はお早目にご検討下さい。


今後も面白いアイテムをリリースしていけたらと思いますので、楽しみにお待ち下さいませ。


    

3周年

お陰様で、本日無事にお店を開店して3周年を迎えました。

   

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これもひとえに応援して下さるお客様と各社取引先様のご協力のお陰と、心より感謝申し上げます。



企業が3年以上継続するのは全体の1割程度と言われております。


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独立してお店を開業した時、とりあえず3年続ける事を目標としておりましたが、自分がその1割に残れたのは本当に奇跡の様な事だと思います。とにかく感謝しかありません。



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これからも精進を忘れず、少しでもお客様にご満足頂ける1着をお届け出来るよう、愚直に服作りに向き合って行きたいと思います。

M様

今日は岡山からM様にご来店頂きました。


昨年初めてMTMのジャケットをご注文頂き、それを着てご来店下さいました。


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納品は配送でしたので、今回初めてご着用をこの目で確認したのですが、良い感じで身体に馴染んでおり、安心致しました。


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まだ二十代前半と大変お若いM様ですが、服の販売の仕事もされていたそうで、着こなしは実にスマートです。


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こうして、若くして注文服にご興味を持って下さる若い方が増えて来ているのは大変有難い事です。


MTMを始めた事で、若いお客様にもトライして頂ける様になった事は本当に良かったと思います。


M様には次回作としてヴィンテージツイードにてご注文を頂きました。こちらも出来上がりが非常に楽しみです。


M様、この度は誠にありがとうございました。

ラグランコート完成

すこぶる久しぶりの投稿になってしまいました。


コロナ当初は時間が出来ていたのですが、最近では逆に忙しくなってきております。


一時は廃業も覚悟しましたが、大変ありがたい事になんとか年は越せそうです。


今回は途中で止まっていたラグランコートのご紹介を。



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なんだかんだで無事に完成致しました。


2ヶ月程前に(笑)



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仮縫いの段階でかなり苦労しまして、3回程袖を裁断しなおしました。。



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前袖を綺麗にシワなく落とす様に作るのが、ラグランスリーブにおいて最も難しい所でしょうか。



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数メートル生地を無駄にしましたが、何とかイメージ通りの仕上がりになったかと思います。




早速色々なお客様にご試着頂きました。


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一般的なラグランの特徴として、やはり肩線境目がない分、どんな方が着ても大体許容してくれます。



また着方も様々で、この様に襟を立てて着てもカッコいいですし、


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または第一釦を留めて着て頂くのもアリです。


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体型を選ばないのに加えて、様々な着方が楽しめるアイテムだなと、作ってみて改めて思った次第です。


現在、着々とご注文を頂いております。


ご興味おありの方は気軽にお問い合わせ下さいませ。

    



ミラノの型紙

サルトの仕立てるスーツは、地域によってその作り方も様々のようです。



ティンダロ氏の仕事を見学していてとても驚いたのが、型紙の違いです。


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普通、型紙を引く時はその名の通り紙に線を引いて行くのが一般的だと思いますが、ティンダロ氏の場合はスレキにチョークで引いておられました。


これはミラノでは一般的な方法のようです。おそらくカラチェニが考案した方法なのでしょう。


ナポリでは本番の生地に直接チョークで型紙を引く、いわゆる「直断ち」が多いようですが、場合によっては型紙を作る事もあり、その場合は紙にチョークで線を引いてカットして使っていました。


同じイタリアでも随分違いがあるのだと驚いたものです。



ただ単にスレキか紙か直断ちか、というだけの違いではなく、更に驚いたのはこの後。


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スレキに線を引いてカットした後、ダーツを縫い合わせ、それを生地の上に置いてまた線を引いて、、


最初見た時は全く意味が分からずポカンと眺めていました。


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後でその目的を聞いてなるほどと思ったのですが、同じスーツの作り方でも本当に色々な考え方があるものだと思いました。



余談ですがこの後、氏に私の引いた型紙を見てもらったのですが、それはそれは酷いお叱りを頂いてしまいました。。


基本的に私は型紙に関してはほぼ我流でやっておりまして、当時は経験年数もまだ少なかった事もあり、今考えると確かに無茶苦茶な型紙だったかなと思います。



氏に叱られて以来、社内では「こいつダメなんじゃね?」みたいな雰囲気になり、入社早々強烈な逆風が吹いたのでした(笑)



あの当時を思い出すと暗澹たる気持ちになりますが、逆風を跳ね返すのをモチベーションに出来ましたし、また最初に鼻っ柱をへし折って頂けた事は、今思えば本当にありがたかったと思います。



当時はミラノの型紙と自分の目指すスタイルは違うのだからと思っていましたが、今になってあの時習ったポイントの重要性がやっと理解出来て来た部分もあります。



ティンダロ氏も3年程前に他界されてしまいましたが、あの時に厳しいご指導を頂いたことを今改めて感謝したいと思います。



ティンダロ・デ・ルカ②

ミラノの巨匠、故ティンダロ氏との思い出をもう少し。


思いがけず串カツディナーをご一緒した翌日、氏のトランクショーの合間に型紙の技術指導を頂く機会に恵まれました。


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こうした経験が出来るのもストラスブルゴならではでしたね。今考えても夢のような時間でした。。


氏は前日の食事の時はとても気さくな一面を見せておられたのですが、ひと度仕事モードになるとまるで別人のような近寄り難いオーラを放っておられました。


ナポリでお世話になったパスカリエッロ親方も仕事中は真剣そのものでしたが、合間に突然歌を歌い出したりと、陽気な一面もありました。


同じイタリア人でも北と南とでは性格が違うと言われますが、正にその通りだなと。


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ちなみに、当時ストラスブルゴでのトランクショーにおけるティンダロ氏のスーツの値段は100万円〜。


ドバイの王族にも服の注文のため招待されており、永久ビザまで発行してもらっていたとの事。完全に異次元の方でした。。